【教育機関】オンライン国際教育プログラム管理システム導入事例

大阪公立大学様
煩雑な準備作業を自動化し、教員が本来の教育活動に集中できる環境を構築
業界 教育機関
規模 総合大学(学生数約28,000名)
地域 関西
導入前の課題
- 国際教育プログラム新期開始時の準備作業が煩雑で時間を要する
- 学生フィードバック収集・集計作業の手作業負担が増大
- 多言語対応レポート作成に時間がかかる
- システムファイル管理の属人化
システム導入による改善
- プログラム準備作業の自動化を実現
- 手作業によるミスリスクを軽減
- 業務プロセスの標準化
- 運営プロセスの可視化
導入背景:教育の質向上を阻む事務作業負荷の増大
大阪公立大学様では、海外大学との連携による国際的なオンライン教育プログラムを定期的に開催されていました。プログラムの規模拡大と回数増加に伴い、運営に関わる事務作業が複雑化し、教員の皆様の負担が年々増大していることが深刻な課題となっていました。
弊社がプロジェクト開始前に実施させていただいたヒアリングでは、教育現場ならではの課題が浮き彫りになりました。
複雑化する準備作業
新期開始のたびに発生する準備作業は多岐にわたります。参加学生様ごとの個別フォルダ作成、各種システムファイルの配置、テンプレートファイルの準備など、手作業で行う必要のある作業が数多く存在していました。
これらの作業は一つひとつは単純でも、参加者数が増えると膨大な時間を要するようになります。また、手作業のため設定ミスや配置忘れといったヒューマンエラーのリスクも常に抱えておられました。
フィードバック処理の負荷
プログラム終了後には、参加学生様からのフィードバックを収集し、日本語と英語の両言語でレポートを作成する必要がありました。多言語での集計作業は特に時間がかかり、次回プログラムの企画検討に支障をきたすこともあったとのことです。
属人化する業務プロセス
これまでの運営ノウハウは特定の教員様に蓄積されており、その方が不在の際は業務が滞るリスクがありました。また、新しく運営に携わる教員様にとっては、複雑な作業手順を覚えることが大きな負担となっていました。
現場からは「本来集中すべき教育内容の改善や学生指導に十分な時間を割けない」というお声が上がっており、抜本的な改善が求められていました。
TechTimeのアプローチ:現場に寄り添う実用的なソリューション
プロジェクトを進めるにあたり、弊社では以下の方針を採用しました。
01
指定環境での最適設計
大学様からの要件であるGoogle Workspace環境を前提とし、既存のワークフローを最大限活用しながら効率化を図る設計としました。新たな学習コストを発生させることなく、直感的に操作できるシステムを目指しました。
02
実用性重視の機能開発
限られたプロジェクト期間内で最大の効果を発揮できるよう、最も負荷の大きい業務から優先的に自動化を行いました。理想的な機能よりも、確実に現場で使われる実用的な機能の実装を重視しました。
03
運用安定性の確保
教育プログラムの性質上、システム障害は参加学生様にも影響を与えるため、十分なテスト機能と安定性を確保しました。本番環境と分離されたテスト環境を用意し、事前検証を徹底できる仕組みを構築しました。
04
保守性への配慮
システムの構成や設定内容を大学様で理解・メンテナンスできるよう、複雑な技術の使用を避け、シンプルで見通しの良い設計を採用しました。将来的な機能追加や設定変更も現場で対応できることを重視しました。
実装したソリューション:Google Apps Scriptによる業務自動化
大学様の要件に沿ってGoogle Apps Scriptを活用し、以下の機能を開発・導入いたしました。
自動フォルダ生成システム
新期開始時に必要な学生様用フォルダ構成を自動で作成する機能です。参加者リストをもとに、統一されたフォルダ構成を一括生成できるため、従来の手作業による準備作業の効率化を図りました。
フォルダ名の統一や階層構造の標準化により、運営側の管理負荷軽減だけでなく、学生様にとっても分かりやすい環境の提供を目指しました。
システムファイル自動配置機能
各種テンプレートファイルやプログラム運営に必要なシステムファイルを、適切な場所に自動配置する機能を実装しました。ファイルのバージョン管理も含めて自動化することで、配置ミスや更新漏れといったリスクの軽減を図っています。
フィードバック自動収集・集計システム
Google Formと連携した学生様フィードバックの自動収集システムを構築しました。収集したデータは自動的に集計され、日本語・英語の両言語でレポートを生成する機能も合わせて実装しています。
テスト環境の整備
本番環境に影響を与えることなく動作確認ができるテスト環境を用意しました。新しい設定や機能追加を安全に検証できる環境を整備し、プログラム実施中のトラブルリスク軽減を図りました。
プロジェクトで重視したポイント
開発・導入プロセスにおいて、弊社が特に重視した点をご紹介します。
現場との密な連携
教育現場特有のワークフローや慣習を理解するため、実際の運営プロセスを詳細にヒアリングさせていただきました。机上の理論ではなく、現場で実際に使えるシステムの構築を第一に考え、細かなご要望にも可能な限り対応しました。
操作性の確保
ITに詳しくない教員の方でも直感的に操作できるよう、シンプルで分かりやすいインターフェースを心がけました。複雑な設定を必要とせず、日常的に利用されているGoogle Workspaceの操作感覚で使用できることを重視しました。
運用負荷への配慮
システム導入により新たな運用負荷が発生しないよう、既存の業務フローにできるだけ沿った設計としました。また、トラブル時の対応方法も分かりやすくドキュメント化し、現場での自律的な運用をサポートしました。
システム導入による改善:業務プロセスの効率化を実現
システム導入により、以下の改善を図ることができました。
準備作業の自動化
新期準備作業の大部分が自動化されたことで、従来手作業で行われていた煩雑な準備作業の効率化を実現しました。手作業に要していた時間の短縮により、他の業務により多くの時間を割けるような環境を整備しました。
品質の安定化とリスク軽減
手作業によるフォルダ作成やファイル配置でのミスリスクを軽減し、運営品質の安定化を図りました。統一されたフォルダ構成により、学生様にとっても分かりやすい環境の提供が可能になりました。
業務プロセスの標準化
これまで属人化していた業務プロセスが標準化され、誰でも同じ手順で運営できる仕組みを構築しました。新しく運営に携わる教員様の学習負荷軽減にも寄与する設計としました。
運営プロセスの可視化
システム化により運営プロセスが可視化され、業務フローの改善点を発見しやすい環境を整備しました。データに基づいた運営改善の検討も行いやすくなる基盤を提供しました。
プロジェクトから得た知見
このプロジェクトを通じて、教育機関様におけるシステム導入の重要なポイントを確認することができました。
現場理解の重要性
技術的な優秀さだけでなく、教育現場の文化や慣習への深い理解が成功の鍵となることを改めて実感しました。教員の皆様が日頃感じておられる課題やお考えに寄り添うことで、本当に役立つシステムを構築できました。
適切な技術選択
最新技術の採用よりも、現場の実情に合った適切な技術選択が重要であることを確認できました。Google Apps Scriptという比較的シンプルな技術でも、適切に設計することで大きな効果を生み出せることが実証されました。
教育機関様特有のニーズ
教育機関様では、システムの安定性と保守性が特に重要であることを改めて認識しました。限られたITリソースの中で継続的に運用できるシステム設計の重要性を強く感じています。
教育現場特有の課題に対し、実用的なソリューションを提供できた事例として、他の教育機関様にも参考にしていただければ幸いです。TechTimeでは今後も、教育現場の課題解決に貢献できるよう、技術と現場理解の両面から取り組みを続けてまいります。

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